発表日:2022年8月25日
総務省 プラットフォームサービスに関する研究会 プラットフォームサービスに係る利用者情報の取扱いに関するWG(第18回)
発表テーマ:電気通信事業法第二十七条の十二に関する総務省案(外部通信規律)に対するMyDataJapanの意意見
発表者:一般社団法人MyDataJapan 理事・事務局長 石垣一司

当日発表資料

1. 利用者に及ぼす影響が少なくない電気通信役務

●意見: 外部送信規制の趣旨からは、本来は外部送信用のタグをウェブサイトに設置しまたは情報送信モジュールをアプリに組み込む事業者のすべてが対象となるべきであり、電気通信事業法27条の12の限定は遺憾である。また、同条の解釈としては、利用者の利益に及ぼす影響が少なくないものとして総務省令で定められた電気通信役務を提供する者に関しては、

⮚その者のすべての電気通信役務にかかるウェブサイトやアプリが外部送信規制の対象となると解すべきであり、

利用者の利益に及ぼす影響が少なくないものとして総務省令で定められた電気通信役務にかかるウェブサイトやアプリのみが外部送信の対象になると解すべきではない。

●前記のような電気通信事業法27条の12の制限はあるものの、その中で対象事業者を広く列挙した総務省令の案には異存がない。特に、ワーキンググループで議論されたユーザーの数による制限を設けなかったことは評価できる。

●補足: なお、一から四で列記されている電気通信役務は、かなり広い役務が対象になっているようにも思われるが、表現が抽象的であるため、どのような役務が対象となるのかが分かりにくい。具体的にどのような役務が対象となるのかは注釈にあるが、逆に対象にならない役務は何なのか良く分からない。今後、ガイドライン等で具体的な説明をして欲しい。

○例えば、オンライン会議システム、フリマアプリ、政府機関(三号事業者ではない?)のWEBサイト、広告収入を目的とした個人ブログ、などはどうなるのか。

○なお、基本的に、MyDataJapanでは対象となる事業者や対象となる役務を絞り込むべきではないと考えている。

2. 利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態におく方法

●意見: <通知>においては「能動的な表示」または「同等以上に利用者が認識し理解しやすい方法」が必要とされているが、<公表>の方は、情報送信指定通信を行うウェブページ、又はそこから「容易に到達できるウェブページ」や、起動前後に表示される画面、又はそこから「容易に到達できる画面」となっている。公表の場合であっても能動的な表示が必要ではないか。それが現時点で困難であるなら、せめて、ガイドラインによって「容易に到達できる」の条件を詳細に定める必要がある。

●理由:

⮚MyDataJapanでは、本WGで「通知だけでなく、公表においてもポップアップなどの能動的な手法を用いることで、利用者が容易に知り得る状態におくべきだ」と主張してきた。

⮚総務省のプラ研で報告された「プライバシーポリシー等のベストプラクティス及び通知同意取得方法に関するユーザー調査結果」※によれば、外部送信の存在を知っている人も、外部送信によって自分の情報が外部事業者に渡されていると知っている人も、いずれも全体の3割しかおらず、日本人の約7割は、外部送信のことを知らないため、どこかのページに説明が載っている程度では気づきようがない。また、仮にウェブサイトの閲覧ページにリンクの記載があっても、サイトの情報量が多い場合などは、リンク先の情報を発見してアクセスするのは困難である場合も多い。 ※https://www.soumu.go.jp/main_content/000811620.pdf (p78)

⮚MyDataJapanは、「容易に知り得る状態」というのは、7割の「認知していない人」であっても知り得る状態であるべきだと考えており、その人たちでも気づくようにするような仕組みが必要だと考える。

●補足

⮚将来的には、事業者のウェブサイトから簡単に当該情報にアクセスできる仕組みの検討、標準化、実装の推進を行うべきである。

⮚例えばブラウザの鍵マークを押すとそのサイトのセキュリティ(公開鍵証明書等)やクッキー情報がみられるように、サイトにあるマークをつけてどういう外部送信があるかが見られるようになるとような仕組みなど(企業側の対応とブラウザ側の対応の両面での検討が必要)。

3.利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態に置く事項

●意見: 3号については、「第一号に掲げる情報の送信先における利用目的」に加えて、「及び外部送信により実現しようとする送信元の利用目的」を加筆すべきである。

○理由: たとえば外部送信により送信先が取得した情報を送信先が利用するのではなく、他の情報と突合するなどしたうえで送信元が利用するサービスがすでに存在するところ 、その場合に送信先の利用目的のみを記載されても、それだけでは利用者に及ぼす影響が明らかにならないからである。

例 CDPを使った顧客データの他社データとの突合など

●意見: 4号として、オプトアウトの可否およびオプトアウトの方法に関する事項を加えるべきである。

○理由: オプトアウトの可否や方法は、外部送信の対象となる利用者にとっては重要な情報である。

4.電気通信役務を利用する際に送信をすることが必要な情報

●意見: 1号から、「その他当該電気通信役務の提供のために真に必要な情報」を削除すべきである。

●理由:

⮚本条は、利用者と送信元の双方にとって利便性のある外部送信を「必要な情報」として限定列挙することにより、通知・公表が不要となる外部送信の範囲を限定し、外部送信に関する透明性の確保を図るものである。「真に必要」かどうかは、人により見解が分かれ得るものであり、このような不明確な概念を採用して通知・公表が不要となる範囲を広げることは本条の趣旨に反するものである。

⮚仮に今後、「これも利用者にとって明らかに利便性がある外部送信ではないか」という疑問が生じるものがでてきたとしても、さしあたり通知・公表を実施したうえで、総務省令の改正を待てばいいのであり、送信元に大きな不利益が生じることはない。

5. オプトアウト措置に関し利用者が容易に知り得る状態に置くべき事項

●意見: 7号については、「送信されることとなる利用者に関する情報の送信先における利用目的」に加えて、「及び外部送信により実現しようとする送信元の利用目的」を加筆すべきである。

●理由: 前記(利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態に置く事項)と同じ。

以上