2023年7月14日に開催されたMyDataJapan Conference 2023での、Track A-8「個人情報保護法制について ~特徴・最新動向の主なポイント~」に関するセッションのレポートです。なお、本レポートはMyDataJapan 2023大会事務局が作成したものです。
講演者 | |
恩賀 一 | 前個人情報保護委員会事務局 |
恩賀 一 氏(講演)
講演資料:「個人情報保護法制について ~特徴・最新動向の主なポイント~」
本セッションでは個人情報保護委員会の概要、個人情報保護法制の全体像及び最新の動向について恩賀氏より紹介がありました。
個人情報保護委員会は7年半前に設立され「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護するため、個人情報の適正な取り扱いを確保を図ること」を目的にいます。現在221名の職員が委員会で働き、設立以後より委員会の役割は多岐に渡り、委員会で働く職員数は年々増加しています。
2003年に制定された個人情報保護法の導入当初は、主務大臣制であったため国の行政機関や自治体がそれぞれ独自のガイドラインを策定し、少なくとも民間部門では27分野にわたる40のガイドラインが存在していました。しかし、平成27年の法改正を経て、民間部門の情報取り扱いが委員会に一元化されました。最近の見直しでは、公的な分野も委員会に一元化され、今年の4月より官民一元化が完全に実施されています。
恩賀氏は、2年間個人情報保護委員会で法律を担当していた経験から、個人情報保護法の「多層的」、「多面的」、「国際的」な3つの特性について説明しました。具体的には、まず「多層的な構造」について、法の内容や基本方針、新しい考え方などの詳細を共有しました。さらに、公的部門と民間部門のルールに関する詳しい解説を加えました。
続いて、「多面的な構造」については、日本の個人情報保護法が手続き的規定と実体的規定の2つの側面を持つことを強調し、それぞれの特徴について詳述しました。
最後に、「国際的な構造」に関しては、日本の法律がヨーロッパ的な要素を持ちつつ、民間部門はアメリカ的な性質を有しているとの見解を示しました。データ流通におけるOECDのプライバシーガイドラインやG7の活動など、日本が国際的な枠組みや協力のもとでのデータ保護やプライバシー関連の取り組みを進めていることを締めくくりとして述べました。
以上(文責・MyDataJapan2023 大会事務局)