「MyDataJapan 勝手表彰 2023」概要
私たち一般社団法人MyDataJapanは年に1回「MyDataJapan 勝手表彰」と題して、その年に”MyDataの原則”に則った活動をする個人・組織・取り組みを表彰することで、多くの国民の皆様に取り組みを広く周知すると共に、日本発の取り組みを世界に発信していきます。
※MyDataの原則
https://mydatajapan.org/documents/mydatadoccumets/declaration/
MyDataJapanは、公正で持続可能な社会を実現するため、パーソナルデータに関する個⼈中⼼のアプローチを推進することよって、個⼈をエンパワーする社会の実現を目指して活動しております。その活動の一つとして、フィンランドに本部を置く MyData Global および 全世界に広がる hubネットワークと連携し、MyDataの考えを日本に広げるだけでなく、日本におけるMyDataに資する取り組みを世界に発信していきます。
「MyDataJapan 勝手表彰 2023」受賞者
ELSI政策賞 |
受賞対象:外部送信規律に対する各種コンテンツの整備 |
受賞者名:総務省 |
選定理由:電気通信事業法に外部通信規律が追加(令和5年6月施行)され、これに対応する形で、外部送信規律に関するウェブサイトやパンフレット、Q&A等が公開された。 外部送信規律は、ウェブサイトやアプリケーションを利用した際の利用者に関する情報の外部への送信に関する問題に対処しようとするもので、まだ内容に改善の余地はあるものの、通信関連プライバシーの保護に関する重要な一歩であり、総務省として、新たな規律に対して多くのコンテンツを用意したことは評価できる。 利用者が現在の電気通信サービスの利用におけるパーソナルデータの外部送信の実態に対する認識を高め、きちんとした対応を行いたい事業者にむけたツールやソリューションが充実し、そのような事業者が利用者に評価されることで適切な対応を行う事業者の割合が増加することなどを期待したい。 |
Thought Leadership賞 |
受賞対象:〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす: 正義の反対は別の正義か |
受賞者名:朱喜哲氏 |
選定理由:MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に〈公正(フェアネス)〉を掲げる企業が出てきている中で、企業が利用者から同意を得た上でどのようにデータを扱うべきか、という観点でのガイドとなる情報が世の中にはほとんど存在していない。 日本人という文脈で体系的に説明することが難しい〈公正(フェアネス)〉について、この本ほどわかり易く書かれた本は稀有であり、これを企業として達成することで利用者のパーソナルデータを扱う会社がサステナブルにデータを扱えるようになるという示唆が盛り込まれている。 |
市民啓発賞 |
受賞対象:デジタルダイエット宣言/情報的健康 |
受賞者名:鳥海不二夫教授、山本龍彦教授 |
選定理由:デジタルダイエット宣言は、日常の情報摂取を食事にたとえ、「情報的健康(デジタルダイエット)」の重要さを訴えるものである。2022年にver1.0が発表された後、2023年5月にはワーキングペーパー「健全な⾔論プラットフォームに向けて ver2.0 ―情報的健康を、実装へ」が公表されている。 前提として、我々が情報的偏食状態にあるという問題意識がある。我々は、フィルターバブルに囲まれ、エコーチェンバーの中で”甘いお菓子ばかりを食べさせられている”のだが、そのことに気づいている人は多くない。多くの人は、自分自身は多面的な情報に自由に接することができていると思っているが、アテンション・エコノミーの中で行動することで、個々人のパーソナルデータをもとに好みに応じた情報ばかりが流れてくるようになっている。その裏には個々人のデータに基づくプロファイリングがあり、外部送信等によって様々なサイトでの行動履歴が紐づけ集められ分析されることでフィルターバブルやエコーチェンバーが形成されているのだ。 この問題と対策をより多くの人が理解しやすくまとめた本取り組みによって、今後これを解決する企業側の取り組みも出てくることを期待したい。 |